「自分が将来社会を大きく変えられると信じ続けること」 スマートニュース前田俊太郎の“インパクト志向”

「自分が将来社会を大きく変えられると信じ続けること」 スマートニュース前田俊太郎の“インパクト志向”

2019年07月25日 公開

スマートニュース株式会社のVP of Ad Product, Head of Engineeringとして、広告のプロダクトマネジメントやエンジニアの組織開発まで幅広くご活躍されている前田 俊太郎(まえだ しゅんたろう)さん。

前田さんはエンジニアとしてどういった志向を持ち、どんなキャリアを歩んできたのでしょうか。メンタリングへの意気込みとあわせて詳しくお話を伺いました。

プロフィール|前田 俊太郎

2010年DeNAに新卒入社。バックエンドのエンジニアとして様々なサービスの開発に携わる。後に、プラットフォームシステム部のアーキテクトとして認証基盤、MobageのChatサービス、社内システムのMicro Service化、社外のDeveloperに提供するAPIなどの設計を担当。

SmartNewsには2015年にSoftware Engineerとして入社。App TeamのEngineering Managerを経た後、 SmartNews Adsの Product Managerに就任(2016年10月より、Vice President of Ad Product)。2018年10月よりHead of Engineeringを兼務。

小学校でプログラミングに出会い、大学では生命情報学を専攻

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―まずはプログラミングと出会ったきっかけから教えてください。

初めてプログラミングをしたのは小学生の時です。親の仕事の都合でドイツのインターナショナルスクールに通っていて、4年生の時にプログラミングでゲームをつくる授業がありました。つくったのは動物が動くゲームやピンポンなど、あくまで子ども向けの単純なものでしたが、とても楽しかったのを覚えています。

その後、中学・高校では数学の面白さにハマり、プログラミングからはいったん離れました。中高ともに理解のある数学の先生がいて、フェルマーの最終定理とか四色定理の証明のような解けそうで解けない問題にロマンを感じて、遊び感覚で数学を楽しんでいました。

再びプログラミングに触れたのは大学に入学してからです。慶應義塾大学の理工学部・生命情報学科に入り、研究のためにC言語のプログラミングを始めました。

―大学はなぜ生命情報学科をえらんだんですか?

人よりコンピューターの方がより大きなインパクトが残せると思ったからです。

数学はもともと好きでしたし、生物学にも楽しさを感じていたので、試験管やピペットを使う実験を行うようないわゆるウェットの研究室に進むという選択肢もありました。ただ、数学にしても生物学しても、成果が形となって現れるまでには時間がかかるし、そこには偶然の要素も絡んできます。

当時の僕は、できるだけ偶然を排除して、自分がしっかりやればきちんと結果が出ることをしたかった。それで、コンピューターが重要な役割を果たす生命情報学科をえらびました。機械学習で生物学の命題を解く研究です。

―学生時代から、運の要素が入らず、自分自身が影響力を持ってアウトプットできる領域にこだわっていたと。

そうですね。自分が取り組んでいることに「まぎれ」が生じるのが嫌でした。それに「天才であれば必ず正しい結果がついてくる」という考え方にも憧れていました。いま振り返ると、自分を過信していた部分も大きかったと思いますが(笑)。

2010年にDeNAへ入社。システムアーキテクトがキャリアの転換期に

―前田さんは大学院を経て2010年にDeNAへ新卒入社されます。DeNAをえらんだのはなぜですか?

直接のきっかけは、創業者の南場さんの講演です。当時は将来起業することを前提に、戦略コンサルの採用試験を受けていたんですが、その過程で南場さんの講演を聴いてとても共感しました。

あとはやはり、”社会にインパクトを与えたい”という想いですね。まぎれがなく、自分がしっかりやればしっかり成果として現れる会社で働きたかったので、DeNAに決めました。

―DeNAに入社後はどういった仕事を?

当時のDeNAはエンジニアの採用枠がなかったんですが、同期入社の60名のうち半分くらいは開発に配属されました。僕もそのうちの1人として、研修を受けた後、モバゲーの海外事業に配属されたんです。アメリカ版のモバゲーのような、「ミニネーション」というサービスのプラットフォーム側のエンジニアです。

そこで経験を積むうちにアーキテクトのチームからスカウトされ、これが、いま思えば、キャリアの1つの転換期になったと思います。

―具体的にどういった転換期ですか?

アーキテクトとして設計にかかわることでただ機能開発をするのではなく、システムの正しい作り方についてより真剣に考えるようになりました。

2015年にスマートニュースへ転職。1年ごとに職務を変えながらVPoEへ

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―その後、前田さんは約5年間勤務したDeNAを退職し、2015年に現職のスマートニュースへ入社されます。この転職の背景について教えてください。

理由はいくつかありますが、エンジニアとしてはシステム設計に面白さを感じていたので、設計に携わりつつ、テクノロジーの力でぐっと伸びる会社に行きたかったというのが1つ。

さらに情報収集分野、グローバル展開にも興味がありました。それらをすべて満たせるのがスマートニュースで、転職活動中はスマートニュース1社しか受けませんでした。

―前田さんが感じていたシステム設計、アーキテクトの面白さとは、具体的にどんなものですか?

先ほどお話したように僕はもともと数学が好きだったんですが、システム設計も数学に近いところがあるんです。データをどう分散させるか、何かあった時にどう復旧させるか、あるいはどういうアルゴリズムがあれば課題を解決できるかー。

学術的に難しい命題を解くのと同じような感覚で、さらに世の中に対してもインパクトを与えられる点に面白みを感じますね。

―なるほど。スマートニュースではこれまでどういった仕事をしてきたんですか?

ライブチャット機能の設計やサーバーサイドの開発などを担当しました。その後、アプリのPMを経て、広告プラットフォームのPMを任されました。

PMとして広告の売上を伸ばすのがミッションだったんですが、この時初めて大きなインパクトを残せましたね。最初の6ヵ月間で事業の数字を50%改善できたんです。

そこから経営への参加を促され、2017年に広告事業のVP、その1年後にVPoEになりました。スマートニュースに入ってからはだいたい1年ごとに職務が変わっている感じです。

―そうした短いスパンでのキャリアチェンジを前田さんはどう受け入れていますか?

スマートニュースはスタートアップなので、まずは会社に対してインパクトを出すことが大事だと思っています。あとは本当に自分がやる意味があるのか、他の人ができないことをしているか。この2つが満たされていれば、僕はどんなポジションでも抵抗なく受け入れられますね。

たとえばアドのPMにしても、僕に実績があったわけではありませんが、意外と自分が一番うまくできるのではないか?と考えてやった結果、アーキテクトの経験を活かしながら数字を出すことができたんです。

―今後チャレンジしたいことについて教えてください。

スマートニュースは海外での事業もうまくいっているし、スタートアップとしていい位置にいると思うので、グローバルでどこまでやれるのか挑戦したいですね。

僕の具体的な役割としてはグローバルな開発組織と開発基盤を作ること。日本の採用でもエンジニアに関しては今年の実績で80%以上は外国籍のメンバーですし、サンフランシスコのエンジニアチームもこれからどんどん拡大していく予定です。ソフトウェア開発会社の時価総額トップ10はアメリカと中国の会社で占められているので、しっかりと組織を固め、そこに食い込んでいきたいと思っています。

キャリアを通じて変わらない「インパクト志向」

―前田さんのこれまでのキャリアのなかで、モヤモヤしていた時期、悩んでいた時期はありますか?

「会社に行きたくないな…」という時期は結構ありましたね。会社や世の中に向けてインパクトが出せず、激務が続いたりするとそうなります。DeNAにいた頃はモバゲーが下降曲線だったこともあって、辛い時期はありました。

ただ、「辛い」、「出社したくない」と思っていても会社に行くと治るんです。なので、僕の場合はそういう状態を自分自身で客観視して、その状況を回避できる習慣を身につけるこことで解決してきました。一例としては朝何があっても必ず同じ電車に乗る、自分がダウンになりやすい時間にランニングにいく、といったことですね。

ーまた「社会に貢献したい」、「インパクトを出したい」という気持ちは、多かれ少なかれ誰もが持っていると思いますが、お話を聞いていると、前田さんは他の人よりその思いが強いと感じます。意識してそうしているんですか?

もともとそういう志向というか、高校時代から「世の中でまだ解かれていない問題を解きたい」といった欲求はあったと思います。あとは大学時代、研究を通じて社会貢献ができなかった経験により”インパクト志向”が強くなったのかもしれません。

いずれにしろキャリアを形成していくうえでインパクトを出すこと、仮に他人が認めなくても、自分が将来社会を大きく変えられると信じ続けることはとても大事だと思います。

「自分が正しい」とは思わないからこそ、まずは聞く

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―ここからはメンタリングへの意気込みについてお伺いします。1on1をする際はどういった進め方をしますか?

相談に来られる方のコンテキストは人それぞれだと思うので、まずは何をしたいのか、何を求めているのか相手の話を聞くことから始めます。なかには自分の求めるものに気づいていない方もいらっしゃると思うので、それを見定めるためにも時間を使いますね。

―これまでのメンタリングを拝見して、前田さんは質問の仕方、話の聴き方がとてもうまいと感じました。そういったスキルはどこで身につけたんですか?

スキルというより、自分が正しいとは思っていないところが大きいのかもしれません。いまの自分はマネジメント側にいますが、それでも常に「自分が間違っているのかも」と問い続けています。

―ご自身でメンターとしての強みはどういったところにあると思いますか?

「マネージャーとしてビジネスインパクトを出したい」、「技術の追究を通じて直接的なビジネスインパクトを出したい」と思っている方の相談にはのれると思います。あと、うちはグローバル採用に力を入れていて、シリコンバレーのメンバーと日々仕事をしているので、そのあたりの話もできますね。

―最後に人柄・趣味について教えてください。プライベートはどう過ごされていますか?

プライベートでも広告関連の機械学習のモデルを作って遊んだりしています。あと好きなのは将棋。将棋には運の要素がなく、自分が強くなれば結果が出るんです。さらにチェスと違ってゲームが進むにつれてどんどん局面の複雑度が上がっていくので楽しいです。

―ありがとうございました。

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